女性の定年とパラレルキャリア  2016.1.15開催


 2015年7月の厚生労働省の発表によると、2014年における日本の平均寿命は、男性が80.50歳、女性が86.83歳。しかも日本女性は世界で一番の長生きなのだそうです。つまり、日本の女性は世界一老後のことを考えなければいけないとも言えます。マチュア世代の私たちも、そろそろ「老後」について考え始める時期。まだもう少し先のことではあるけれど、今のうちから少しづつでも考えていくことが必要と、今回は定年後の生活について考えてみました。 

 

最初にNever Too Late!代表 の西村から、「女性の定年」について基本的なお話をさせていただきました。

■日本の女性は世界一老後のことを考えなければいけない

 2014年における日本の平均寿命は、男性が80.50歳、女性が86.83歳と厚生労働省が昨年7月に「簡易生命表」で発表しました。

 これは正確に言うと、「死亡状況が今後変化しないと仮定したときに、2014年(平成26年)に生まれた女の子の平均余命が86.83年(男の子は80.50年)と推定される」ということです。

 

 この発表によると、例えば今50歳の女性は、残りの人生が36.83年ではなく、37.96年。つまり、87.96歳まで、55歳の女性なら33.28年、つまり88.28歳まで生きられると推定されるということです。しかも日本女性は世界の中でも一番の長寿。加えて男性との差は6.33年もあります。

 

 仮に60歳で定年退職しても26年~28年もの時間があり、しかもパートナーがいたとしても一人で過ごす時間も長いということがわかります。これだけの時間をどう過ごすのか、今から考えていくことが必要です。

■経済的な基礎知識としての「年金」の話

 

 老後に向けて考えるべきことのひとつに経済的な要素があります。人それぞれ、環境や条件、生活スタイルは違うけれど、老後の生活を考えるとき「経済」は大事なこと。では、年金がどんな仕組みで、いったいいつからいくらもらえるのかという基本的なことについて、まずは確認しました。だれもに共通な老齢基礎年金の支給額や、厚生年金の支給年齢など、今後のライフプラン設計の土台部分を把握するのは、とても重要です。

■「生涯現役社会」と「ジェロントロジー」

 

 高齢化社会に向けて、厚生労働省は「生涯現役社会」として、「支えられる側」から「支える側に」と打ち出しています。さらに定年後に年金支給までの隙間を埋めるために、「高年齢者雇用安定法」も改正され、世の中は65歳まで継続的に働ける方向になりつつあります。

 

 また「老齢学」とも言われる「ジェロントロジー」では、「加齢」を「価値」と捉え、「余生」を「人生後半戦」と捉えて、より早い段階から人生後半戦を見据えたライフデザインを設計することが重要と言われています。(出典:富士通総研)

 

■女性の定年

 

 均等法前後に社会に出た女性たちが、定年を意識する年齢になってきた今、女性達も定年後をどう生きようか、男性同様に悩みや迷いを持っています。特に、長年、男性中心の社会で男性以上の働きを示すことで、地位を確保してきた女性の場合、男性よりも役割喪失のストレスが大きいのではないか、男性よりも「生きがい就労」の性質が強いという指摘です。(出典:富士通総研)

 

 「ライスワーク」から「ライフワーク」へ、「働く」ということが、単に企業で勤めることではなく、もっと広義の意味で捉えたとき、人生後半戦はできることなら、生活のための収入を得る目的の「ライスワーク」か自分のしたいことで働く「ライフワーク」へ比重を移していきたいものです。

 

 最後に、人生最期の終末ケアに携わった看護士の方が、死を間近に控えた患者さんたちの口から出た後悔の言葉をまとめたものを紹介させていただきました。

 

 「人生の終わりに気づく後悔TOP5」のNo1は「自分自身に忠実に生きれば良かった」

誰かに望まれる生き方、誰かの評価を気にする生き方ではなく、「自分らしく生きれば良かった」という後悔を私たちも最後の時にしなくて良いように、これからの「人生後半戦」を生きていきたいですね。

 

続いて、本日のメインテーマの「パラレルキャリア」について、定年後の生き方にいろいろな選択肢がある中で、起業を考えるとしたら、どんな準備をすれば良いのか、起業による「生きがい・働きがいのある」第二の人生の実現の支援を行っている、50プラス起業ネットワーク石川の小嶋さんから起業のための準備について紹介していただきました。

 

■50代の起業で生きがいある第二の人生をスタートする

 

 大企業では役職定年と再雇用で「やりがい」と【報酬」を失い、「転職」や「起業」といったセカンドキャリアに踏み出している人たちが増えてきているそうです。50代での起業にはメリットがたくさんあり、体力・知力が充実した50代が起業のチャンスと小嶋さん。

 

 ・知識と経験が豊富で、体力のある中高年こそ起業向き!

 ・生きがいと経済的安定を得るチャンスがある!

 ・豊富な知識と経験でリスクを最小限に抑えられる!

 ・本当にしたい事を仕事にして第二の人生を過ごせる!

 ・本来の自分を取り戻し、自身と生きがいを実感できる!

 

■シニアの起業について

 

シニアの起業について、いくつかのポイントを教えていただきました。

 

(1)3つの健康 「3K」 が大事

  ・健康(身体)  ・(家庭)経済  ・心(生きがい) 

 

(2)計画の建て方

「大目標先行型」と「小目標発展型」とがあるが、どちらでもいいので、自分に合った方で建てる。

  

 (3)計画の貯金

計画してもすぐには実行できないこともある。でも、実現不可能と諦めないで「計画を貯金」しておけば、いつか状況が変わって実現可能になることもあり、何かの役に立つこともある。

 

(4)ネクストステージへ

本業だけのステージから、趣味やビジネスを少し手掛けるステージ、本業とそれが平行するステージ、そして本業よりもそちらが大きくなるステージを経て、新しいキャリア(セカンドキャリア)へ踏み出していける

 

 

■ワークショップ

 

 まだ起業を考えているわけではない参加者が大半の中、3つのシートで自分の想いを書き出してみました。

シート1:各自、自分の「ライスワーク」と「ライフワーク」をレベル分け

シート2:シート1の各レベルをパラレルキャリア相関図へ転記

シート3:自分のフューチャーマップを記載

 

 未来のいつかに達成するとイメージして、今からそこまでのフューチャーマップには山あり谷あり。

でも、山から谷へ下降するターニングポイントが「想定されるリスク」。谷から抜け出し山へ向かうターニングポイントが「障壁の克服要因。 未来のリスクと克服要因を考えることで、ぐっと夢が実現できそうに思えてきました。

 

リスクがないと思っているのが一番危ない。リスクを想定できることが大事。楽しくやりましょう。夢ですから・・・との小嶋さんの言葉に、参加の皆さんもとても楽しそうでした。

 

 最後に小嶋さんから、「人事を尽くして天命を待つ」と言う言葉がありますが、これは結果を期待している。これに似た言葉で「天命に任せて人事を尽くす」があります。こちらの方は、結果にとらわれず、できることはしておこうという気持ちの違いがあるという「大乗寺」の元住職のお言葉を紹介いただきました。

 

 

  定年後どんな生活を送りたいのか、男性の参加者も交えて楽しい雰囲気で、あっという間に終りの時間になってしまいました。

 

会の始まる前に早めに会場に着いたメンバーで、定年後の話で雑談しましたが、他の人がどんなふうに考えているのか、お互いの話を聞くのもいいねと(今回は平日夜のため懇親会がなかったので)、ぜひ次回はこのテーマで座談会をやりたいと思っています。

 

参加の皆様、そして小嶋さん、ありがとうございました。


■ プレゼンター:

・ Never too Late! 代表 西村 美奈子

・ 50プラス起業ネットワーク石川 Good firm creator 小嶋 久之

 

■ 開催場所:グランツ税理士法人