マチュア世代の女性たちのこれからの生き方・働き方を考える      2014.2.1開催


均等法から28年、もうすぐ30年になろうとしている今、少数派だったマチュア世代の働く女性が層を形成しつつあります。 男性たちと肩を並べて突っ走ってきた女性たち、働くことが好きで、働くことと人生を切り離せない女性たち、でも、ちょっと立ち止まって、これまでの働き方とこれからの働き方をいっしょに考えてみませんか? これからの人生、自分の人生を自分らしく生きるために。

 

そんな想いで企画したNever too Late! の記念すべき最初のイベントは、3つのプレゼンテーションとダイアローグを中心とした、参加型のイベントでした。

「Never too Late ! 新しく踏み出そう」

初のセッションは、Never Too Late!代表 の西村から、「Never too Late! 」というコミュニティ立ち上げの想いを、お話しさせていただきました。

 

1997年に誕生した資生堂のとあるブランドのキャッチコピー 「美しい50歳がふえると、日本は変わると思う」が、当時30代だった私には、心をわしづかみにされたような強烈な印象で残っています。「マチュア世代」を意識した最初のブランドと言われていますが、とにかくかっこいい。それは、年齢を重ねても社会の中で活き活きと活躍している女性の姿が輝いて見えたからで、あんなふうな素敵な「大人の女性」をめざしたいなと思ったものでした。

 

これが、この活動の原点です。

 

アベノミクスで女性活用が叫ばれていますが、若い女性の子育て支援や女性の管理職への登用は、それ自体は素晴らしいことですが、子育ても一段落し、管理職にはなったけれど役員をめざすわけでもない私にとって何か「違う」と感じています。 

均等法世代が層を形成

私が入社したのは機会均等法の施行されるちょっと前でしたが、均等法から30年を迎えようとする今、40代、50代のいわゆるマチュア世代で、男性と同等に働く女性たちが層を形成しつつあります。層として存在するのは初めての世代です。私たちより前の世代では男性と肩を並べて働けたのは限られた少数派で、多くの働く女性たちは男性の補助的な仕事に甘んじるしかなかったのだと思います。

 

働くことの楽しさ、充実感を味わってきた「マチュア世代の働く女性たち」でも、今、ふと立ち止まって、これから先のことを考える人も多いのではないでしょうか。

 

そんなとき、人生80年を24時間に例えてみる「人生時間」で考えれば50歳は15時。退社時間まで、まだ時間はあり、もう一仕事できてしまう時間。ちょっと休憩して甘いものでもとってみれば、まだまだ頑張れる。
日本女性の平均寿命が86歳なのだから、残された時間はもっとあります。

 

何かを始めるのに遅すぎることはない。お互いに刺激し合って、支え合って、新しいことにチャレンジしていきましょう。自分の人生のオーナーシップを持ち、人生の後半を輝いて生きていきましょうと語らせていただきました。

「セカンドキャリア習得中」

次に大企業を50歳で退職し、セカンドキャリアに挑戦している飯島さんから、新しいキャリアに踏み出す際の不安と現在の仕事について語っていただきました。

 

「役職離任(注:55歳になり、ラインの管理職からはずれること)まで5年を残し、会社に居れば安定した収入は得られますが、そのあとどうするのか、自分にとって本当にやりたいことは何だったのか、と疑問が湧いてきました」

 

もともと学生時代に心理学を専攻した飯島さん、なぜ心理学を勉強したのか、会社生活で何を学んだのか、やりたかったのに、できなかったことは・・・と自問自答した結果、出てきた答えは「自分は困っている人の相談にのる仕事がしたい」ということ。では、そのために必要なこととは?と突き詰めて考えて「大学院で臨床心理学を学び、資格取得をめざす」と具体的な行動計画に落とし込みます。

十分時間はある!

23歳で会社に入って50歳で退職するまで28年間、大学院生として2年間学んで53歳からカウンセラーとしてのセカンドキャリアのスタートを切った飯島さんですが、80歳までちょうど28年間。見事に同じだけの時間があります。

 

飯島さんは現在、病院の精神科で復職支援プログラムのスタッフとして働いています。その傍ら、区役所でもカウンセラーとして、DV被害に遇われた女性たちの相談にのっています。

 

「やっと再・社会人一年生が終わるところですが、まだまだ試行錯誤、雲の中です。でも、困っている人のために「人の心に寄り添う仕事のエキスパート」を目指して、今後も自己研鑽に励みます!」と、まさにNever too Late! の実践者です。

「これからの働き方のキーワードはビジョンと関係性」

前半セッションの最後は、これからの働き方研究所 代表研究員の中谷さんの「ビジョンと関係性」という視点から、「これからの働き方」についてのプレゼンでした。

 

中谷さんはコンピュータ関連の出版社を共同経営してきましたが、事業の失敗という挫折を経験したことから、ものの見方が変わった「転換点」があったと話します。

外面的な様々な事象が実は根っこで繋がっている

「天職ってなんだろう、これから何をして生きていこうと考えたとき、「働き方」は「生き方」そのものだと気付きました。今、時代は転換点を迎えています。この時代で働くとはどういうことかを考えたとき、今までのような企業が儲かるための課題解決ではなく、「本当の課題を知って解決すること」が重要で、それがわからないと持続的に幸せな人生を過ごすことはできないと思います」

 

「ものの見方が、自分の判断基準に固定されていると、分かり合えないしお互いを活かし合うこともできないので幸せになれない。そして、一人ひとりが元気になれないと、社会やお互いの関係性も元気になれない。外面的な様々な事象が実は根っこで繋がっているという関係性を知って共通の未来ビジョンを描くことが大事です」と力説しました。

個人ワークとダイアローグ

後半のセッションは個人ワークとダイアローグでした。
まず最初にひとりひとりが4つの問いに向き合いました。

 

■ あなたにとってマチュアな女性とは?
■ めざす生き方・働き方を文字にしてみよう
■ それを阻害する壁(要因)は?
■ 壁を乗り越えるには、どうすればいい?

 

そして、グループワーク。 4つの問いについての意見の出し合い。 30分という限られた時間ではどのチームも話足りない様子でしたが、それぞれ、まとめて発表。


3つのチームとも、「自分自身が壁を作っている」、乗り越えるには
「自分が変わる」「一歩踏み出す」「まずは行動してみる」 と、同じような意見が出たのが印象的でした。

グループワーク

懇親会では、話足りなかった分を取り戻すべく、皆さん話に夢中。楽しい時間を過ごすことができました。

 

最後に参加者の方たちに書いていただいたアンケートには、「人と意見を交えることは楽しいし、新しい発見があった」「自分を見つめなおす大変良い機会になった」「とても楽しかった」「また次の機会を楽しみにしている」と嬉しい言葉が並び、主催者としては、たいへん手ごたえのあったイベントになりました。

 

”マチュア世代の女性” だけでなく、その予備軍である30代の女性や応援者としての男性の参加者もいて、Never too Late! としての初めてのイベントはたいへん良いイベントになりました。参加してくださった方たちに感謝です。


■ プレゼンター:

・ Never too Late! 代表 西村 美奈子
・ 産業カウンセラー・臨床心理士候補生 飯島 徳子
・ これからの働き方研究所 代表研究員 中谷 靖子

 

■ 開催場所:ギークオフィス恵比寿